哲学、読書、演劇、思ったこと。

谷翔です。読書メモ以外はnoteで書くことにした→https://note.com/syosyotanisho10

『ファン』

『ファン』

アイドルの握手会
この日最後のファンが来る

アイドル「またね〜、こんにちは〜(手を差し出す)」
ファン「(手を出さず)……」
アイド「握手しないんですか〜?」
ファン「……」
アイド「学生さんですか〜?」
ファン「……」
アイド「どうしたの〜?」
ファン「……」
アイド「緊張しちゃった?」
ファン「私はあなたのファンではありません」
アイド「え〜、じゃあ誰推しなの〜?」
ファン「推しとかありません」
アイド「あ、そうなんだ? 推しとか決めないタイプ?」
ファン「対等なので」
アイド「え?」
ファン「対等……友達なので」
アイド「友達? あー、私、よくファンの人と友達っぽい感じになるんだよね〜」
ファン「友達っぽい、じゃなくて、友達です」
アイド「あ、うんうん、よろしくね〜」
ファン「……」
アイド「あ、じゃあ、やっぱり、私のことが気になって来てくれたってこと?」
ファン「気になって、っていうか、友達なので、まあ、たまに会うのが普通じゃないですか?」
アイド「あはは、そうだよね〜」
ファン「なんでそんなにヘラヘラしてるんですか?」
アイド「ヘラヘラ? 私いつもこんな感じなんだ〜」
ファン「友達とはもっと普通に話すものじゃないですか?」
アイド「友達ともこんな感じだよ〜」
ファン「……」
アイド「え、どうしたの?」
ファン「(泣き出す)」
アイド「え、え、え、なんで、え、大丈夫ですか?」
ファン「(泣いている)」
はがし「お時間でーす(はがす)」
アイド「あ、お大事にね〜」

アイド「キンモ」

終わり