哲学、読書、演劇、思ったこと。

谷翔です。読書メモ以外はnoteで書くことにした→https://note.com/syosyotanisho10

2021-01-01から1年間の記事一覧

許せますように

間違いってないよなぁと思う。 間違っていたから直す、とか、ないよあなぁと思う。 間違ったことをしてしまった、今度からしないように気をつけよう、とか、ないよなぁ。人を殴ってしまった、殴るのは間違ったことだ、今度から殴らないようにしなければ、と…

『死者の部屋での会話』

『死者の部屋での会話』場所 居住型老人ホームの一室状況 その部屋に住んでいた女(80代)がさっき亡くなった登場人物 男(50代、亡くなった女の息子) 女(名前は咲季、高校生、男の弟の子供)亡くなった女がベッドに横たわっている 老人ホームからの死の知…

『ロックとは』

『ロックとは』人通りの多い場所(駅前の広場とか)で待ち合わせている Bがギターケースを抱いて寝転がっている Aが来るA「何してんの」 B「んー?」 A「寝転がってますけど」 B「うーん」 A「わりと邪魔になってる気がしますけど」 B「あれだよ」 A「あれと…

『落とし物』

『落とし物』母、父がリビングにいる 母はソワソワしている 父は新聞を読んでいる 子が学校から帰ってきてリビングに入る子「ただいまー」 母「おかえり。ねえ[子]電話に出ないからさ。【子、「え」と言ってカバンから携帯を出して確認する】あの、電話き…

権力構造、子供扱い④

千葉雅也の記事。https://realsound.jp/movie/2021/06/post-783043.html前に書いた権力構造の話とちょっと関連して。千葉雅也が性的マイノリティだからこういうことを「言ってもかろうじて大丈夫」って感じはある。マジョリティとみなされる人がこの記事の千…

ただ生命

サン・テグジュペリは郵便配達のパイロットだ。危険な仕事である。この日、彼は同僚と二人、不慮の事故によって砂漠の真ん中に降り立った。ここがどこなのか分からない。水も食料もほとんどない。彼らが生きているうちに仲間が助けに来る可能性はほぼない。…

優しさっていらなくない? って思ってしまうのだが

優しさって何なん、って思う。わしは、優しさを重要視する人になんとなく不信感を抱いてしまう。「優しさって要るかな??」と、思う。 優しさは、あったらあったで良いものだけど、なかったらなかったで特に問題ない。わしはそういう感覚でいる。宝石みたい…

『ファン』

『ファン』アイドルの握手会 この日最後のファンが来るアイドル「またね〜、こんにちは〜(手を差し出す)」 ファン「(手を出さず)……」 アイド「握手しないんですか〜?」 ファン「……」 アイド「学生さんですか〜?」 ファン「……」 アイド「どうしたの〜?…

『落とし物』

『落とし物』母、父がリビングにいる 母はソワソワしている 父は新聞を読んでいる 子(性別問わない)が学校から帰ってきてリビングに入る子「ただいまー」 母「おかえり。ねえ[子]電話に出ないからさ。【子、「え」と言ってカバンから携帯を出して確認す…

レヴィナスの努力あるいは疲労における遺棄、断罪について

レヴィナスの『実存から実存者へ』で気になった箇所。レヴィナスは努力あるいは疲労・労苦について以下のように述べる。「自分の務めの上に身を屈めて労苦する人間の本性のうちには、遺棄が、見捨てられた者の境涯がある。まったく自由になされるとしても、…

〈ある〉(イリヤ)、恐怖

レヴィナスは、「〈ある〉がふっと触れること、それが恐怖だ」と言う。「〈ある〉」の原語は「il y a」である。英語なら「there is」、あるいは「it is rain」とかの「it is」。つまり、非人称、「私が」とか「彼が」などと行為の主体を指定しない、「誰が」…

責任、喜び、サン・テグジュペリ

著者サン・テグジュペリは飛行機で郵便配達をする仕事をしている。ある時、ギヨメという同僚が、大きな事故でもう死んだと思われていた中、数日後に生還した。著者は彼を讃えて書く。「彼の偉大さは、自分に責任を感ずるところにある、自分に対する、郵便物…

ザバァーと

佐野洋子は、幼稚園の時にブランコに乗っていたら隣の男の子がブランコを横にゆらして佐野のブランコにぶつけて来た、というエピソードを話したあと、男に対してどんな注文があるか、という話を続ける。その最後のあたり。「私やっぱり暴力というのは嫌だ。…

他人と幸運 人間の土地

フランス人の著者はパイロットで、ある時、クランクの故障により同僚たち数人とともにある海岸へ不時着した。そこは当時フランスの植民地で、以前同じ場所に不時着した他の同僚はその土地の人たちに虐殺されていた。すでに日が暮れており、修理には夜明けを…

権力構造、子供扱い③

「上」にいる人は、安心している。 「下」にいる人よりも権力を持っているこの人は、「下」にいる人から「捨てられる」かもしれないとか「追い出される」かもしれないとかいった不安はない。 誰かを捨てたり追い出したり(あるいは逆に拾ったり迎え入れたり…

『論理哲学論考』を読みながら思ったことを書く

ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を読んだ。読み返してみる。僕がまず躓いた箇所はここだ。「1.13 論理空間の中にある諸事実、それが世界である。」「論理空間」ってなんやねん。自分にとって難しい哲学の本を読む時に大事なのは、分からない部分は分…

祖母の通夜の前日

祖母の通夜の前日、葬儀場の宿泊場所で晩御飯を食べたあと、わしとわしの従兄弟の二人で話している。その母二人(実の姉妹)は話に入ってはこないがその部屋にいる。 ↓ 従兄弟とわしが楽しく話す。盛り上がるが、わしは「この人は究極的には他人のことなんて…

レヴィナス、ハイデガー、世界内で生きること

レヴィナスは、生きること(=実存すること)をリアルなこととして見ている。あるいは、生き続けることを。 レヴィナスは、「飢えと渇き」をリアルなものとして見ている。 お腹が空いて食べて生きていくことを、人間の基盤として見ている。世界内では人間は…

生きることを特別視するレヴィナス

レヴィナスの『実存から実存者へ』を読んでいる。レヴィナスは、「存在」と「生」を同一視している? レヴィナスは、生きることを特別視しすぎている、気がする。 生きることを特別視するから、「糧」とか言うのだと思う。レヴィナスが論敵として立てている…

知性改善論、最高の善、真理に開かれた人間

以下の文章は僕が大学2年生の時の最後に書いたレポートである。先生から課題図書が数冊挙げられ、その中から一冊ないし数冊を選んでそれについてレポートを書くという課題だった。 パソコンの中を眺めていたら見つけて、久しぶりに読んだら、なんだか良かっ…

腹が空くから食べてるだけよ

エマニュエル・レヴィナスの『実存から実存者へ』に、こんな文章があった。「もちろん私たちは食べるために生きているわけではないが、生きるために食べると言うのも正確ではない。私たちは腹が空くから食べるのだ。」(西谷修訳)要は、食べることは生きる…

重みが好きな

重みを心地よいと感じる人がいるのかもしれない。 心の底から、身体の底から、その人の最も深い部分から、そう感じる人がいるのかもしれない。例えば、家族だったり、職場だったり、あるいは、未来だったり、過去だったり。またあるいは、自分だったり。家族…

『出発地』

『出発地』●登場人物 ・父 ・母 ・子(中学生、性別なんでもよい)●場所 玄関(玄関前廊下に階段とトイレの扉がある構造の家) 子が階段を降りてきてトイレに入る。 そのあと父と母が玄関に来る。 父が靴を履く。父「じゃあ行ってきます」 母「(カバンを渡…

向かう瞬間

ある状態については、その方向へ向っている、ということが重要だ、と思う。あれかこれか、という、固定した状態を想定しない方がよい。たとえば、 「ありのままの自分」か、「つくろった自分」か、とか。100%「ありのまま」を実現した自分も、100%「つくろ…

知る、似る②

他者の話を聞いたりして他者を知ろうとする時、その他者の話が「正しい」かどうかとか、自分がその話に「共感」をするかどうかとかは、全くどうでもいい。ただただ「その話」を聞くこと。できるかぎりその話「だけ」を聞くこと。 その話をまるまるそこに存在…

オモロイ。欲求。

ふとマズローの欲求段階説が気になって検索した。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E7%90%86%E8%AB%96 ↑ウィキペディアのページを読んだ。 面白かったところ・承認の欲求がesteemの欲求だったところ。つまり、「尊重」…

知り方へのこだわり

わしって、知識とか情報を、単なる知識、単なる情報として知ることを、あまり欲しないみたいだ。例えば、何か気になったトピックがあって、それについて知りたいと思ったとする。でも、すぐにネットで調べたりとかはあまりしない。「知り方」が重要なのだ。…

畏敬の念

岩波文庫の『論理哲学論考』が面白い。ここには3人の人がいて、それぞれがそれぞれの考えを喋っている。ウィトゲンシュタインと、ラッセルと、野矢茂樹。ウィトゲンシュタインがまず喋り、それを読んだラッセルが喋り、そして野矢茂樹が彼らの間で喋る。野矢…

知る、似る

他者を知ることって、自分がその他者に少し似ることを伴うんじゃないかなー、と思う。 少なくとも僕にとってはそういう知り方じゃなければ意味がない、と感じられることが多い。

権力構造、子供扱い②

この記事はhttps://tani55sho44.hatenablog.com/entry/2021/08/29/160444の続きである。一応。…… 対等な状態とは何だろうか、と考える。 対等ではない関係とは、つまり上下関係とは、以下の関係である。 上方向と下方向があり、その間に無数の段階があり、そ…