哲学、読書、演劇、思ったこと。

谷翔です。読書メモ以外はnoteで書くことにした→https://note.com/syosyotanisho10

権力構造、子供扱い⑤

健康な人が健康であること、あるいは、健康になれる状態の人がどんどん健康になっていくこと、しかないんじゃないか、と思った。

……

権力関係がある、
つまり、上の人と下の人がいる。

その権力関係が要因となって、そこにいる人が苦しんでいるとする。

そういう場合、上の人が非難される。
振る舞いを改めろ、と上の人が言われる。
あるいは上の人が良心的な人ならば、自ら反省して振る舞いを改めようとする。


でも、

上にいるからといって、人間ができているとは限らない。
その人は、自分の振る舞いを改められるほどには人間ができていないかもしれない。

同様に、下にいるからといって人間ができていないとは限らない。

……

健康とは、

「そこにある権力関係に従う振る舞いとは別の振る舞いが可能であること」

と、ここでは定義しよう。


つまり、

「自分は下の人だから上の人にペコペコしなければならない」とか、
「自分は上の人だから下の人に指示を出さなければならない」とか、
「自分は下の人だから上の人には逆らえない」とか、
「自分は上の人だから下の人にひどいことを言っていい」とか、

他にも無数に考えうるし、もちろんそれぞれの場所の権力関係によって様々でありうるが、
とにかくそういう、権力関係における「型」とは「別の」振る舞いが可能、ということが「健康」ということだ。

……

上にいるからといって健康とは限らない。
下にいるからといって健康でないとは限らない。

だから、上にいる人が振る舞いを改めるべき、という要求は、不可能な要求でありうる。

……

権力関係における苦しみは、権力関係における振る舞いの「型」を要因とするものである。

それゆえ、苦しみをなくすには、その「型」とは「別の」振る舞いが必要である。

つまり、誰かが「別の」振る舞いをする必要がある。

すなわち、誰かが振る舞いを「変える」必要がある。

とは言え、振る舞いを(その時点において)変えることのできる人もいれば、できない人もいる。

だから、苦しみをなくすには、振る舞いを(その時点において)変えることのできる人が変える「しか」ない。

……

で、

健康な人が健康であること、あるいは、健康になれる状態の人がどんどん健康になっていくこと、「しか」ないんじゃないか、

と思った。