哲学、読書、演劇、思ったこと。

谷翔です。読書メモ以外はnoteで書くことにした→https://note.com/syosyotanisho10

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

〈ある〉(イリヤ)、恐怖

レヴィナスは、「〈ある〉がふっと触れること、それが恐怖だ」と言う。「〈ある〉」の原語は「il y a」である。英語なら「there is」、あるいは「it is rain」とかの「it is」。つまり、非人称、「私が」とか「彼が」などと行為の主体を指定しない、「誰が」…

責任、喜び、サン・テグジュペリ

著者サン・テグジュペリは飛行機で郵便配達をする仕事をしている。ある時、ギヨメという同僚が、大きな事故でもう死んだと思われていた中、数日後に生還した。著者は彼を讃えて書く。「彼の偉大さは、自分に責任を感ずるところにある、自分に対する、郵便物…

ザバァーと

佐野洋子は、幼稚園の時にブランコに乗っていたら隣の男の子がブランコを横にゆらして佐野のブランコにぶつけて来た、というエピソードを話したあと、男に対してどんな注文があるか、という話を続ける。その最後のあたり。「私やっぱり暴力というのは嫌だ。…

他人と幸運 人間の土地

フランス人の著者はパイロットで、ある時、クランクの故障により同僚たち数人とともにある海岸へ不時着した。そこは当時フランスの植民地で、以前同じ場所に不時着した他の同僚はその土地の人たちに虐殺されていた。すでに日が暮れており、修理には夜明けを…

権力構造、子供扱い③

「上」にいる人は、安心している。 「下」にいる人よりも権力を持っているこの人は、「下」にいる人から「捨てられる」かもしれないとか「追い出される」かもしれないとかいった不安はない。 誰かを捨てたり追い出したり(あるいは逆に拾ったり迎え入れたり…

『論理哲学論考』を読みながら思ったことを書く

ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を読んだ。読み返してみる。僕がまず躓いた箇所はここだ。「1.13 論理空間の中にある諸事実、それが世界である。」「論理空間」ってなんやねん。自分にとって難しい哲学の本を読む時に大事なのは、分からない部分は分…

祖母の通夜の前日

祖母の通夜の前日、葬儀場の宿泊場所で晩御飯を食べたあと、わしとわしの従兄弟の二人で話している。その母二人(実の姉妹)は話に入ってはこないがその部屋にいる。 ↓ 従兄弟とわしが楽しく話す。盛り上がるが、わしは「この人は究極的には他人のことなんて…

レヴィナス、ハイデガー、世界内で生きること

レヴィナスは、生きること(=実存すること)をリアルなこととして見ている。あるいは、生き続けることを。 レヴィナスは、「飢えと渇き」をリアルなものとして見ている。 お腹が空いて食べて生きていくことを、人間の基盤として見ている。世界内では人間は…