哲学、読書、演劇、思ったこと。

谷翔です。読書メモ以外はnoteで書くことにした→https://note.com/syosyotanisho10

岩の性質

 僕はどんどん動けなくなっている。体が動かなくなっている。自分の意志で動くことのできる範囲が、どんどん小さくなっている。こういうことが起こると、僕はよく、欲望の大きさの比較でこれを説明していた。すなわち、動く欲望がないわけではない、動く欲望も動かない欲望もあるのだが、それらを比べると、動かない欲望が大きいから、結果的に、動いていないという選択を取ることになっているのだ、と。その説明が、僕の感覚的にはしっくりきていた。しかし、最近、感覚的に、なんか違うな、という気がしてきた。今は、欲望同士の比較ではなく、そもそもの僕の性質と僕に生じている欲望のズレ、という感覚がしっくりき始めている。説明してみよう。例えば、大きな岩があるとする。その岩に、「そこでじっとしているのと、自分で自分の好きなところに歩いていくのと、どっちがいい? じっとしているのはツマラナイんじゃないかい?」と訊くとする、そこでその岩が思うのはきっと「どっちがいいもなにも、僕はそもそも「歩く」ようにはできていないんだよ」ということだろう、今の僕はそんな気持ちである。