『Cの真髄』
A「今日来るの、あとCだよね」
B「そうだよ」
A「そうだよねぇ」
B「なんで?」
A「んー」
B「なに、やなの?」
A「いや、やじゃないけどさぁ」
B「ふーん」
A「んー」
B「(黙る)」
A「なんか、や」
B「やなんじゃん」
A「いや、やじゃないんだよ、べつに」
B「やって言ったじゃん」
A「んー」
B「分かるけどね、なんとなく」
A「分かる?」
B「Cってあんまり察しないよね、人の気持ち」
A「あー」
B「違った?」
A「うーん、そこじゃないかも」
B「ふーん」
A「なんだろ、喋り方?」
B「へー」
A「なんか近い感じ」
B「近い?」
A「にじりよってくる、って言う?」
B「にじりよるという言葉はあるよ」
A「そういう感じ」
B「へー」
A「なんだろ、瞬時に? サッとにじりよってくるというか」
B「瞬時だったらにじりじゃないのでは」
A「うーん」
B「(黙る)」
A「あれだよ、早送り再生みたいな」
B「早送り」
A「実際のスピードはにじりなんだけど、早送りしてるから速く見える」
B「どゆこと」
A「うーん」
B「(黙る)」
A「あれ、あのー、真髄はにじりなんだけど、表面は早送り、みたいな」
B「真髄はにじり」
A「そう、Cの真髄はにじりなの」
B「Cの真髄はにじり」
A「分かった?」
B「分からん」
A「なんだよ」
B「分かんないけど、なんか、Cの真髄はにじりって言葉なんかいいなって思った」
A「そこはどうでもいいんですけど」
C「おはよう」
AB「おはよう」
終わり