哲学、読書、演劇、思ったこと。

谷翔です。読書メモ以外はnoteで書くことにした→https://note.com/syosyotanisho10

2021-01-01から1年間の記事一覧

権力構造、子供扱い

権力を持っている側はおのれの振る舞いに気をつけなければならない、と言われる。僕はこれに対して簡単には頷けないでいる。 こういう主張は例えばこんなことを言う。「権力を持つ側の人間は自分が権力を持っていることに無自覚になりやすい。自分では相手と…

クロワッサンの女②『君はクロワッサン』『友達の話』

クロワッサンの女②『君はクロワッサン』は谷作ではなく、谷の知人作。 『友達の話』は谷作。 クロワッサンの女①(https://tani55sho44.hatenablog.com/entry/2021/08/14/175427)の世界と同じ世界。 …… 『君はクロワッサン』A男 B女◯ファストフード店にて 横…

クロワッサンの女①『ラストバイバイ』『君はウンコ』『しっくり』

クロワッサンの女①『ラストバイバイ』は谷作ではなく、谷の知人作。 『君はウンコ』と『しっくり』は谷作。『ラストバイバイ』を読み、同じ世界の話として書いた。 …… 『ラストバイバイ』A男 B女○ファストフード店にて 横並びで座っている A「バイバイ、?」…

『Cの真髄』

『Cの真髄』 A「今日来るの、あとCだよね」 B「そうだよ」 A「そうだよねぇ」 B「なんで?」 A「んー」 B「なに、やなの?」 A「いや、やじゃないけどさぁ」 B「ふーん」 A「んー」 B「(黙る)」 A「なんか、や」 B「やなんじゃん」 A「いや、やじゃないん…

役に立ってます

哲学を専攻していた、と言うと、「何か役に立った?」と訊かれることがある。 僕はたいてい「役に立つ……うーん、まあ、役に立ってますね」などと言う。そこで「何の?」とか「何が」などと訊かれると、「哲学の全部が役に立ってます」と言う。 どういうこと…

『傘を』

『傘を』 A 女 B 男 C 男 全員苗字呼び 全員高校卒業したばかり雨が降っている 中学校の校門前のバス停でAとBが立っている Aは傘を差している Bは傘を差していない A「あの、傘、お貸ししましょうか?」 B「ありがとうございます。でも、大丈夫です」 A「え…

『ドライブ』

『ドライブ』 A、B、Cが車に乗っている。走っている。Aが運転、Bが助手席、Cが後部座席。Cは途中で乗ってきた。 A「あ、海」 B「ほんとだ」 A「海ですけど」 C「(黙る)」 A「あの、海、ありますよ」 C「(黙る)」 A「あのー、ここではない、ですか?」 C…

『クッキー』

『クッキー』 A、クッキーを手に持っている B、スマホをいじっている A「このクッキーもそもそしてる」 B「ふーん」 A「歯にひっついて取れない(舌でクッキーを取ろうとする)」 B「ふーん」 A「さっきから取ろうとしてるんだけど取れないんだよね」 B「ふ…

誰かが助けてくれるかどうかと、見方の話と、ある面接官が僕を「たにしょー」呼びした

十月十日の進化論という映画の中にこんなシーンがある。 妊娠した主人公は、「一人で子供を育てる」と自分の母に言う。母は反対するが、主人公は「私のやることを認めてよ」と言う。 母は言う。「あんた甘えてんやわ。一人やったらなんもできへんくせに。最…

世界、自分、ゆるし

新世紀エヴァンゲリオン第25話を観ていた。 碇シンジに対し、この世界はあなたの世界だ、あなたが望んだ世界だ、という言葉がかけられる。 そこで碇シンジは言う。 「もうすべて決まりきってる世界だろう!?」 それに対しかけられる言葉。 「違うわ。あなた…

言葉、動き

〇〇をする、と決めるとする。すると決めた内容と、実際にすることの内容は、直接的には関係ない。そこに直接的な因果関係はない。すると決めたからそれをする、というのは、自然因果的な力ではない。仕事をする、と決めたからといって、仕事をするとは限ら…

調子はたしかに悪いんだけどべつに良くしたいと思っていない時

自分の精神的な調子が悪い時のうち、 いま調子を改善したいとはべつに思ってないんだよなー、 ということがある。今はこれでいいや、という時。でも、 そういう時に人に電話したりすると、 その人は僕のために調子を改善するための方法を考えてくれたりする…

愛の永遠

例えば、 「頑張れ」と簡単に言ってはいけない。だって人はもうすでに頑張っているんだから。 という話がある。でも、 「頑張れ」と応援されると元気が出るよね。 という話もある。それは当然のこと。 「頑張れ」が重荷になることもあれば、 「頑張れ」が支…

『別れ話』

『別れ話』則太(のりた):29歳男明佳音(あかね):30歳女恋人、付き合って3年明佳音の部屋明佳音、部屋の床に座っている則太、2人分のカップ(ティーパックとお湯が入っている)を持って部屋に入ってくる則太「(部屋に入りながら)この前、弟がメシ誘っ…

『葬儀場で』

『葬儀場で』則太(のりた):28歳男 明佳音(あかね):29歳女 恋人、付き合って2年半則太の従兄:30代 則太の母:50代明佳音、自分の部屋のベッドに寝転んでいる 明佳音の枕元にはスマートホンがある 則太、葬儀場のロビーに来て、ソファに座り、スマート…

『弟との話』『弟との出来事』

『弟との話』 則太(のりた):28歳男明佳音(あかね):29歳女恋人、付き合って2年半 聡太(そうた):22歳、則太の弟(社会人になったばかり) 部屋2人で横に並んで座っている 則太「この前さ」明佳音「ん?」則太「弟来たじゃん」明佳音「あ、来た。イケ…

『絵を見ながら』

『絵を見ながら』則太(のりた):28歳男 明佳音(あかね):29歳女 恋人、付き合って2年半茨城県近代美術館 クールベ作の「フランシュ=コンテの谷オルナン付近」を2人で見ている (美術館なので)小声気味で話している則太「この絵、けっこう好きだな」 明…

守ること

僕は、隠し事をするのが苦手だ。何でもかんでも話してしまう。秘密を持っていたくない。 隠し事をするということは、自分でそれを背負う、ということを含んでいる。 隠さずに全てを話すことは、楽だ。自分一人で何も背負わなくていい。全てを共有し、共同し…

「1/6」と「1/12」と「1/7」と「5年」と「1/2」と「4年」と

いま、姫野カオルコの小説『彼女は頭が悪いから』を読んでいる。 面白い。 それはさておき、小説の中で、こんな「問題」が出されている。引用する。「じゃね、いきますよ。優香ちゃんの一生は、1/6を少女として過ごします。1/12で何人かと付き合ったけど、そ…

『ティー』

『ティー(ルートワン)』則太(のりた):28歳男 明佳音(あかね):29歳女 恋人、付き合って2年半2人が横に並んで座っている 則太、カップのお茶をすする明佳音「それ苦くないの」 則太「え?」 明佳音「それ入れっぱなしだから」 則太「あぁ、ティーパッ…

『実家から』

『実家から』則太(のりた):28歳男 明佳音(あかね):29歳女 恋人、付き合って2年半明佳音が則太のアパートの部屋で座っている 則太が玄関から段ボール箱を持って戻ってくる則太「なんか届いた」 明佳音「実家?」 則太「うん」 明佳音「あけて」 則太「…

『昔の話』

『昔の話』則太(のりた):28歳男 明佳音(あかね):29歳女 恋人、付き合って2年半部屋の中 横に並んで座っている明佳音「まあ、もう20年? 以上も前の話だけど」 則太「へえぇ」 明佳音「うん」 則太「そういう話って、やっぱり、これまでの彼氏にもして…

馬鹿

自分は馬鹿なんじゃないかと思ってきた、馬鹿なヤツほど自分を物語化して語る。物語の力を借りて生きようとしているのだろうけど。そんなのなくても勝手に生きてくれるのにね。

「決める」こと

この前、病院の精神科に行った時に、医師から、「自分の軸を決めよう」と言われた。自分の軸、言い換えれば、「自分は何をしたいのか」「自分はどの方向で生きていきたいのか」。 僕は最近、正社員で働こうとしている。 今度面接に行く。 アルバイトではなく…

「依存先を増やせ」?

「依存をやめるには、依存先を増やすといい」ということを、最近、複数の人に言われた。 また、同じことを、著名な作家や専門家が言っているのを何度も聞いたことがある。 でも、僕にはまだ、ピンとこない。 ある人にはこう言われた。 「ホームを持っていな…

『運転中』

『運転中』則太(のりた):28歳男 明佳音(あかね):29歳女 恋人、付き合って2年半則太の家に明佳音が泊まった朝、仕事に行く明佳音を、仕事が休みの則太が駅まで車で送っている【 】内は声を出す則太「なんか、家で会うとあんまり会話ないよね」 明佳音「…

岩の性質

僕はどんどん動けなくなっている。体が動かなくなっている。自分の意志で動くことのできる範囲が、どんどん小さくなっている。こういうことが起こると、僕はよく、欲望の大きさの比較でこれを説明していた。すなわち、動く欲望がないわけではない、動く欲望…

押されて動く

言葉は物である。人も物である。例えば、物は押せば倒れる。言葉も人もそうだ。言葉によって人が動くことがある。「醤油取って」と言えば誰かが醤油を取ってくれる。それは、「醤油取って」という言葉に人が押されたからである。「醤油取って」という言葉の…

『干しイモ』

『干しイモ』 則太(のりた):28歳男明佳音(あかね):29歳女恋人、付き合って2年半 20時頃、明佳音の家(アパート)、横に並んで座ってテレビのバラエティ番組(トークメイン系)を見ている 則太「お茶いれようかな」明佳音「ん」則太「いる?」明佳音「…

「読んでもらいたくない」

スピノザは、『神学・政治論』の「諸言」の終盤、「哲学的読者諸君」と呼びかける。「諸言」ではこの本の概要が説明されている。スピノザは、「諸言」を読んだ「哲学的読者諸君」にこの本が「歓迎して貰えることと確信」し、彼ら「哲学者たち」にはこの本の…